滋賀県犬上郡に計画した小さな家。
田園風景が広がる見晴らしと、開発が進む団地に挟まれるという敷地条件であった。
敷地の南側が団地への出入口道路と直面する為、ハイサイドライトを取り、光を天井にバウンドさせている。
プライバシーを守りつつ、内部を明るく満たす断面計画とした。
その光が、家のどこからでも享受でき、家族で共有する光として、この家の象徴的なものになればと思う。

また、この家のクライアントは教育施設の先生であり、地域の子供たちの為に家を建てた際には、自宅で
児童相談ができるようにして、子を持つ親の手助けをと願っていた。
普通の住宅ではない、一種の公共性に近い雰囲気を持たせることが、このプログラムを成立させる鍵だと考え、
2.7×2.7ｍの巨大テーブルを広場（リビング）の真中に提案した。
そのテーブルの大きさは、料理、読書、勉強、テレビ、児童相談、ピアノ鑑賞と様々な使い方を同時に行っても
時間をできるだけ共存できる「距離」を生んでくれる。
わずか25坪の住宅にこの大きさは異様でもあるが、きっとこの住宅を生き生きとした空間へと
仕立て上げてくれると確信している。

様々な人が、各々している事が家の真中にはみ出ていても心地よい、パリのパサージュ的な雰囲気を
この住宅に求め、目指した。